ガイドラインについて 利用方法
LIFULLアクセシビリティガイドラインを効果的に活用する方法を解説します。
ガイドラインの使い方
LIFULLアクセシビリティガイドラインは、プロダクトやサービスをアクセシブルにするための手引書です。以下の手順でガイドラインを効果的に活用しましょう。
ガイドラインの活用手順
1. ガイドライン全体を把握する
まずは、ガイドライン全体をざっと読んで、アクセシビリティに関する基本的な理解を深めましょう。各項目には説明や具体例、参考情報が記載されているので、自分にとって特に関連性の高い部分を重点的に読み進めてください。
2. 自分の業務に関連する項目を確認する
ガイドラインは工程(≒職種)ごとに大きく分かれています。自分の業務に関連する項目を特定し、それらに重点を置いて理解を深めましょう。また、チーム内で協力してアクセシビリティを向上させるために、他の職種に関する項目も把握しておくと良いでしょう。
3. 目標とするレベルを決める
レベルはガイドライン項目の優先順位です。「レベルの選び方」を参考にしながら、プロダクトやプロジェクトで目標とするレベルを決定してください。
4. 目標レベルに従って対応を計画する
各ガイドライン項目には対応するレベルが明記されています。これを参考にして、対応が必要な項目をリストアップし、実施の順序を決めましょう。リソースや状況に応じて、適切な対応策を選んでください。
5. ガイドラインに沿った改善を実施する
対応が決まったら、具体的な改善を実施しましょう。ガイドラインに記載されている具体例や参考情報を活用しながら、アクセシビリティを向上させていくことが重要です。
6. 継続的な改善を行う
プロダクトやサービスのアクセシビリティ向上は、一度で完了するものではありません。ユーザーからのフィードバックや自身で気づいた課題をバックログに取り込み、継続的に改善していくことが大切です。
各手順において、社内に在籍する専門家の知識やリソースを活用できます。アクセシビリティ推進グループに積極的に声をかけてみてください。
レベルについて
レベルとは何か?
レベルは、ガイドラインの重要度、コスト、LIFULLの制作事情を総合的に判断した、ガイドライン項目の優先順位です。
レベル1…必ず達成
ユーザーに大きな影響があり、どのサービスでも必ず達成したい重要なタスクです。レベル1に対応できていない場合、特定の状況にあるユーザーが完全にアクセスできない状況が生じることがあります。これはほとんどの場合、「バグ」とみなされるべきものです。
レベル2…可能な限り達成
レベル1に次いで重要で、できるだけ達成してほしいタスクです。これにより、より多くのユーザーがコンテンツにアクセスしやすくなります。項目によってはレベル1と同様の重要性を持つこともありますが、対応の難易度やLIFULLでの実情を考慮してレベルを下げている場合があります。
レベル3…できれば考慮
できれば考慮してもらいたいタスクです。これにより、WCAGのA, AAの達成基準がおおむねカバーされます。レベル3を達成すると、さらに多くのユーザーにとって使いやすいプロダクトやサービスを実現できます。
レベルの選び方
プロダクトやプロジェクトごとに目標レベルを設定し、そのレベルに合わせてガイドラインを満たすデザインと実装を行ってください。
選択したレベルに基づいて、原則としてそのレベルで必要とされるガイドライン項目をすべて満たすようにしてください。
既存のプロダクトやサービスへの適用
既存のプロダクトやサービスにLIFULLアクセシビリティガイドラインを適用する場合、以下の「レベル選びのモデルケース」から類似ケースを探して参考にしてください。適用時点で既にリリースされている部分に関する問題が多くても心配はいりません。今後の継続的な改善のなかで対応していきましょう。
新規プロダクトやサービスへの適用
新規プロダクトやサービスにLIFULLアクセシビリティガイドラインを適用する場合、下記の「レベル選びのモデルケース」から類似ケースを探して参考にしてください。
改修プロジェクトへの適用
プロダクトやサービスレベルで既に目標レベルが設定されている場合は、そのレベルに従ってください。目標がまだ設定されていなくても、UIの追加や改善を含む改修案件がある場合は、以下の「レベル選びのモデルケース」から類似ケースを探して参考にしてください。
レベル選びのモデルケース
注:以下のモデルケースは、考え方を示すための例であり、実際に採用されたものではなく、必ずしも同様の判断を求めるものではありません。
LIFULL HOME'Sのような検索・詳細・問合せを含むカタログ的ウェブサイト
多くのアクセスが見込まれるため、様々なユーザーが利用することが想定されます。テキスト中心の情報検索・閲覧がサービスの核であるため、アクセシビリティへの配慮を妨げる要素はほとんどありません。一方で、企業の基幹サービスであるため、開発の迅速さも重要です。
総合して、レベル2を目標とします。レベル3の項目については、容易に実施できるものから取り入れます。
ただし、物件情報はユーザー生成コンテンツであり、画像に適切な代替テキストを用意することは難しいです。クライアントに代替テキストを提供してもらうための仕組みや業界慣習が不十分で、現実的ではありません。そのため、物件情報に関連する画像の代替テキストは対象外とします。
サービスの紹介や問合せ導線を含むプロモーションサイト
情報提供が主な目的のウェブサイトであり、サービス利用に関わる重要な導線です。インタラクティブな要素として問合せフォームがありますが、一般的なメールフォームで、複雑なインタラクションやサーバーサイド機能は必要ありません。サービス説明に動画コンテンツを含む場合、動画字幕作成のノウハウが不足していることが懸念されますが、取り組めば実現可能と考えられます。
総合して、レベル2を目標とします。
企業の顔となる静的ウェブサイト(コーポレートサイト、IRサイトなど)
コーポレートサイトやIRサイト、採用サイトは、企業の取り組みが具現化されていると外部から認識される企業の顔です。情報提供が主な目的のウェブサイトであり、複雑なインタラクションやサーバーサイド機能は必要ありません。ブランディングやメッセージを伝えるために、動画やアニメーションによる演出を行いますが、アクセシビリティとの両立は十分可能です。
総合して、レべル3を目標とします。現時点で達成できていない項目については、計画的に改善を重ねます。IRサイトや採用サイトで利用している外部サービスのアクセシビリティについては、サービス提供元に改善要望を提案したり、別のサービスへの移行を検討します。
外部委託による読み物系サイト・特集サイト
ほとんど動的な要素がない静的ウェブサイトです。事業部内にデザイナーやエンジニアがいないため、デザイン・実装および記事の執筆は外部委託しています。委託先は特別にアクセシビリティの知識が豊富ではありません。
総合して、レベル1を目標とします。デザインや実装のために、アクセシビリティガイドラインのコピーを委託先に送り、遵守を求めます。記事についても、記事コンテンツ向けアクセシビリティガイドラインに沿って執筆するよう求めます。デザインや実装のレビューや受入テストについては、アクセシビリティ推進グループに相談し進め方を確認します。
VR/ARを活用した先進的なプロジェクト
VR/ARを用いて、業界内であまり例のない実験的なインタラクションを実現するプロジェクトです。実験的な要素が強く、普遍的な価値向上よりも、話題性や革新性をアピールすることが重要です。VR/ARによる空間的な体験の代替コンテンツ作成は、試行錯誤の末にできるかどうか微妙であり、プロジェクトの中で研究開発して提供することは現実的ではありません。
総合して、目標とするレベルは定めません。
MVPによる検証フェーズのプロダクト
プロダクトが問題を解決するかどうか、市場がプロダクトを受け入れるかどうかを迅速に検証することが最も重要なプロジェクトです。プロダクトが提供できる根本的な価値を評価することが目的であり、ユーザビリティやアクセシビリティは二の次になることが共通認識となっています。
総合して、目標とするレベルは定めません。ただし、検証フェーズが終了しプロダクトが成功した場合、アクセシビリティを向上させるための改善計画を立てるものとします。
フィードバックの方法
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